何が観察可能なのかどうかは、理論によって決まる
2019年に日本を含む世界の研究グループがおとめ座M87銀河の中心にあるブラックホールの姿を初めて捉えたのは記憶に新しいことですが、これはアインシュタインが一般相対性理論をもとにあらゆる物質や光を吸い込んでしまう天体の存在を予想してから約100年後の偉業でした。
アインシュタインの名言である、
何が観察可能なのかどうかは、理論によって決まる。
It is the theory which decides what can be observed.
がまさに具現化された快挙だったわけです。
理論と実験・観測のサイクル
このように、科学の世界ではまず天才的な発想力・思考力を持つ科学者により理論(仮説)が打ち立てられ、それを別の科学者たちが実験や観測で裏付ける歴史の連続です。
そうして確認された実験結果や観測結果が今度は新たなイマジネーションを理論家たちに与え、新理論(新仮説)の誕生を促します。
ブラックホール形成メカニズム理論を待望
ブラックホールに関しては、ようやく他の恒星や銀河のように観測可能な天体になったわけですが、ブラックホールが形成されるメカニズムに関してはまだよくわかっていないと言われています。
特に銀河の中心にあるような、太陽の何百万倍もの質量を持つ巨大なブラックホールは、超新星爆発のような星の重力崩壊では説明がつかないほどの大きさであり、新たな理論(仮説)が待たれている分野であるといえます。
アインシュタインの名言に従えば、まずは理論ありきです。
有力な理論の登場が待望されます。