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アルカリ金属について

最近、中国の電池メーカーである寧徳時代社(CATL)がナトリウムイオン電池を7月頃に販売開始すると発表し話題になっています。
今回は、ナトリウムもその一種であるアルカリ金属について、その特徴を列記してみたいと思います。

最外殻に電子が1個

まず、原子構造のおさらいから始めたいと思います。
原子は原子核とその周りを運動する電子で構成されています。
また電子は複数の軌道上を周回しています。
この点では太陽系の惑星たちが決まった軌道を公転しているイメージに近いのですが、原子の場合は同じ軌道上に複数の電子が運動できるところが少々異なるところです。

さて、電子が超高速で原子核の周りを運動する際に形成される軌道の集まりでできる球面を電子殻と呼ぶのですが、電子殻も原子核から近い(内側の)ものから遠い(外側の)ものまで複数あります。
中でも、最も外側の電子殻は最外殻と呼ばれており、通常は最外殻に決まった数の電子が全て入っている状態で原子が最も安定します。
周期表における元素の並び方は、最外殻における電子の数が同じものを集めて列が分けられており、一番左側の列が1個で1族、ということになります。

アルカリ金属の特徴

1族の元素を周期表の上から順に見ていきますと、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムとなっています。
水素を除いた残りの元素はいわゆる「アルカリ金属」と呼ばれており、特徴としては「軽くて、軟らかくて、反応性が高い」ということができます。
反応性については、空気中に放置すれば酸化され、水とも反応しやすくいことが知られています。

 

この反応性の高さは、アルカリ金属の最外殻にある電子が1個しかなくこの状態では不安定であり、この電子1個を他の原子に渡して安定的な状態になろうとしているからと考えられています。
最外殻にある電子1個を他の原子に渡してしまうと、一つ内側の電子殻が最外殻となり、かつそこに複数の電子が存在する状態となるので、その状態の方が安定するからだそうです。

電池材料への適用

アルカリ金属が最外殻の電子を放出すると陽イオンとなりますが、ここでピンと来るのが電池材料としての適用ではないでしょうか。
「アルカリ電池」とか「リチウムイオン電池」といった単語にはみなさん馴染みがあると思いますが、アルカリ金属が軽く軟らかく加工がしやすいことと、陽イオン化しやすく電気化学的特性に優れることから、電池材料(正極材料)として広く活用が進んでいます。

 

リチウムは当然のことながら、リチウムと比較して希少性の低いナトリウムやカリウムの活用検討も着実に進んできており、冒頭でご紹介しました寧徳時代社(CATL)によるナトリウムイオン電池の販売開始発表に至っているというわけです。

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ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。