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フンコロガシは天空を見ながら糞を転がしている

人間の五感が一番ではない

宇宙飛行士の若田光一さんは著書『宇宙飛行士、「ホーキング博士の宇宙」を旅する』の中で、

センサーというのは現象のある部分をとらえるための道具と言えますが、人間のセンサーである五感が一番のセンサーだと思ったら大間違いなわけです。

と記しています。
今回は愛らしい昆虫の驚くべきセンサリング能力をご紹介させていただきます。

フンコロガシは天空の偏光パターンを利用している

アフリカを中心に生息するフンコロガシは、糞の匂いに誘われて巣を出発し、お目当てにたどり着くと見事なボールを作り上げます。
その後、自らの体よりも大きなボールを巣まで持ち帰るために、彼らは後ろ脚でボールを蹴りコロコロ転がして動かすわけですが、頭は後ろの下の方に向けているため移動方向である前方を確認しながら転がしている素振りは見えません。
しかも、フンコロガシには昼行性の種類だけでなく夜行性の種類もいて、夜行性の種類にとっては月明かりくらいしか頼りになる光源がないことがあります。
そんな時、何とフンコロガシは月光が大気中の微粒子に散乱されたことでできる天空の偏光パターンを識別して、自らの位置を正確に把握し帰巣するというのです。

偏光がわかる昆虫がいる

人間の目では直接偏光を識別することはできません。
しかし、偏光サングラスを着けたり、偏光フィルターをつけたカメラレンズを通して見ることで、色を鮮やかに見ることができたり、反射光をカットして水の中を見ることができたりします。
ところが、夜行性のフンコロガシは自らの複眼で偏光を識別して位置情報を把握することができるようなのです。
フンコロガシの光受容部は人間の目の網膜のように平な形状ではなく、アスペクト比のある円筒形状をしており、特定の方向から来た光に対する高い偏光感度があるそうです。
このため、月夜の大気が織りなす偏光パターンを指標として位置情報を得ることができるらしいのです。
また、月の無い夜には天の川の光による偏光パターンを利用しているとも言われています。

フンコロガシの他には、ミツバチも偏光を利用して同様の能力を発揮することが知られています。若田光一さんがおっしゃる通り人間のセンサー(五感)が一番で無いことを思い知らされますね。


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ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。