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建設中!ハイパーカミオカンデ

今回は、現在着々と建設が進んでいるハイパーカミオカンデについてご紹介したいと思います。

建設計画概要

初代のカミオカンデ、2代目のスーパーカミオカンデに続き、3代目となるハイパーカミオカンデの着工記念式典が、5月28日に岐阜県飛騨市神岡町の建設現場で行われました。
2027年の実験開始を目指し、着々と建設が進んでいる模様です。

さらに巨大になる検出器

カミオカンデは、岐阜県飛騨市神岡町の旧鉱山内にある、巨大な地下水槽とその内壁に電球のお化けみたいなの(光電子増倍菅)がたくさん付いている検出器を持つ施設です。
3代目となるハイパーカミオカンデの検出器は、従来の検出器と比較してさらに巨大化する予定です。

 

ハイパーカミオカンデ:直径68m、深さ71m、体積26万トン、光電子増倍菅約4万本

 

スーパーカミオカンデ:直径39m、深さ41m、体積5万トン、光電子増倍菅約1万本

 

初代カミオカンデ:直径・深さ(不明、すみません)、体積3千トン、光電子増倍菅約1千本

 

この巨大化した検出器の効果で、スーパーカミオカンデの100年分のデータをハイパーカミオカンデでは約10年で得ることができるようになるそうです。
そのため、これまで見えなかった素粒子のまれな現象をより高確率で捉えることが期待されます。

何ができるようになるか?

カミオカンデはニュートリノが検出器内の水にぶつかる際に、水中を走った荷電粒子から発するチェレンコフ光を捉える装置です。

 

ニュートリノは太陽のような恒星で大量に生成され、常時地球に大量に降り注いでいるのですが、ニュートリノは寸法が小さすぎて、そのほとんどは私たちの体はおろか地球そのものを素通りしています。
太陽から発せられるニュートリノが地球と同じような大きさの物質にぶつかる確率は「50 億個のニュートリノのうち1個程度」と言われています。
そこで、カミオカンデは代を重ねるごとに水槽の体積をどんどん大きくして、ニュートリノが水にぶつかる確率をより高めようとしているんですね。

 

これまでカミオカンデは、超新星爆発のせいで宇宙から大量に降り注いできたニュートリノや、茨城県の東海村で人工的に作り発射されたニュートリノを検出してきました。
ハイパーカミオカンデでは、さらに巨大化した検出器を用いることで、理論的に予想されている陽子の崩壊の検出や、ニュートリノのCP対称性の破れ(ニュートリノ・反ニュートリノの性質の違い)の発見などを、スーパーカミオカンデよりも短い観測時間で実施できるようになることが期待されています。

ハイパーカミオカンデが完成した暁には、検出器内に純水を注入する前に見学会など開催されるのではないかと私は密かに期待しています。
地中深いところに作られた深さ71mの巨大水槽に4万本のお化け電球。
カメラを持参い超広角レンズで撮影したらドイツの写真家アンドレアス・グルスキーの作品の様にさぞ面白い画が撮れる様な気がします。

ABOUT ME
ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。