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染色体、DNA、遺伝子を説明できますか?

ここにきてようやく日本でも接種率が上がってきた新型コロナウイルスのワクチンですが、今接種が進んでいる新型コロナウイルスのワクチンの製造法はインフルエンザ等の従来のワクチンの製造法と大きく異なることが知られています。

 

従来のワクチンは鶏卵など細胞由来の製造法であることに対し、新型コロナウイルスのワクチンは核酸由来の製造法となります。

 

核酸というのは”デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸 (RNA)の総称”なのですが、もしかすると、
「確かDNAって遺伝子のことだったよねー。」
「そういえばDNAと遺伝子って何が違うのだろう。どちらも遺伝情報を子孫に伝達する機能があると思うけど、他にも染色体っていうのもあるなー。」
など、遺伝情報に関する単語の定義がごっちゃになってしまわれる方もいらっしゃると思います。

今回は私自身の頭の整理を兼ねて、染色体、DNA、遺伝子といった言葉の意味するところについてご紹介したいと思います。

染色体

染色体は、細胞の核の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体となります。
ヒト細胞の場合は、細胞核に23対(46本)の染色体が入っていますが、父親から受け継ぐものと母親から受け継ぐものとがペアとなって23対に分かれています。
この23対(46本)うち、22対(44本)は常染色体、残り1対(2本)は性染色体と呼ばれています。性染色体は性別に関わる染色体として知られていますね。
染色体の太さは約1-2μm、長さは1桁μm-数十μmだそうです。

DNA(デオキシリボ核酸)

染色体の中にある、”二重らせん構造”をとる物質がDNA(デオキシリボ核酸)です。
まるでハシゴがねじれながら長くつながっているような図をご覧になられた方は多いと思います。

 

DNAの構成単位として、ハシゴの側面のひも状の部分は糖とリン酸でできており、ひもを橋渡しする物質=ハシゴのステップに当たる部分は4種類のヌクレオチドの「塩基」が対になって形成されています。
塩基は、A(アデニン)・G(グアニン)・C(シトシン)・T(チミン)の4種類であり、必ずGにはC、TにはAがくっついたペア(対)になってステップ部を形成しています。

遺伝子

遺伝子は、染色体内にあるDNAの中で、特に生命活動の担い手であるタンパク質の設計情報が記録された領域、とされています。
ヒトのDNAのうち、約1.5%の部分が遺伝子となります。
一本の染色体には、数百から数千の遺伝子が含まれています。

 

先に挙げたDNAの構成要素である、ヌクレオチドの4種類の塩基の並び順、より詳細にいえばアルファベット4つのうちの3つ(例えば”ACA”など)の順列組み合わせが1組となって1つのアミノ酸(アミノ酸はタンパク質の構成成分)をコードすることで、意図したタンパク質を作り出すための設計図として機能しています。
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あると言われているのですが、4種類の塩基から3つを選んでつくる順列組み合わせは64通りですので、たった4種類の塩基でも遺伝情報の担い手として充分機能できているということになります。

 

ちなみに、遺伝子の大きさはコードするタンパク質の大きさにより様々だそうです。
また、ヒトの遺伝子の数は約21,000個であり、マウス(23,000個)よりも少なく線虫と同程度しかないそうです。

 

以上、ご参考になりますようでしたら幸いです。

ABOUT ME
ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。