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電気化学について

筆者は素材メーカーに勤務しており、電池業界の方々と商談の機会があります。
そして、電池業界の開発の方々との会話がスタートした初期の頃に、自社製品について「これは電気化学的に安定な素材ですか?」や「電気化学的に実績のある素材ですか?」と質問されて、戸惑った記憶があります。
「デ・デンキカガク?大変な世界に足を踏み入れてしまった」と思ったものです。

「電気化学」とは「電気」と「化学」が合体した単語ですので、それぞれの特徴が合体した分野といえます。
それぞれを順におさらいしてから、電気化学について考察したいと思います。

電気の世界と化学の世界

まず電気の世界ですが、学生時代に授業で教わったオームの法則や「電・磁・力」で有名なフレミングの左手の法則など、電流や電圧による作用を連想される方がいらっしゃると思います。
また実用面では、照明器具や家電、PCやスマホといったいわゆるエレクトロニクス製品、最近では自動車の電動化といった世界が容易に連想されます。

では、化学の世界はどうかというと、私たちや動物たちが食べ物を食べて消化する、モノが燃焼する、リトマス試験紙が酸性とアルカリ性とで異なる色に変化する、といったモノの変化とを連想される方が多いと思います。
実用面では、薬品やプラスチック材料などさまざまな製品が化学反応で製造されています。

これら電気の世界と化学の世界は、それぞれ独立した分野であり一見互いに関係がないように見えると思います。

電気化学とは

しかし、電気の世界と化学の世界が互いに影響を及ぼす分野も実はあり、それが電気化学と呼ばれます。
例えば、水の電気分解が典型であり、水に電気を流すことでH2Oが分解され、水素と酸素が発生します。
実用面では冒頭でも出てきた電池や食塩生産、メッキ加工などが挙げられます。
電気化学は電気エネルギーと化学エネルギーの変換により発現される機能を活用する分野であり、電池は充電・放電のたびにこの変換作業を繰り返しているのです。

そして、「電気化学的に安定?」という質問に関しては、絶縁素材に徐々に大きな電圧をかけていき短絡した時点の電圧(絶縁破壊電圧)を測定する試験のように純粋に電気的な特性を測定する試験ではなく、また、ある物質を強アルカリや強酸の溶液に浸して分解しにくさを確認するような純粋に化学的な反応性を測定する試験でもなく、ある電気的条件下(例えば特定の電圧や電流値)での物質の化学的特性(例えば複数の素材同士の相性、反応しやすさなど)を測定し結果を把握しているかを問われていた、ということになります。

電気化学については奥が深いですので、今後も取り上げていくことにしたいと思います。


ABOUT ME
ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。