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未知の物質、暗黒エネルギー

宇宙の構成要素(おさらい)

先日の投稿で、宇宙の構成要素は以下のように想定されていることをご紹介させていただきました。
  • 原子でできている通常物質:5%
  • 暗黒物質: 27%
  • 暗黒エネルギー: 68%
そして、銀河内の回転速度が現在観測可能な銀河内の質量から算出される回転速度(銀河中心からの距離の平方根に反比例)と一致せず、銀河系中心部と銀河系周辺部とでさほど変わらないことを説明するために、観測ができないけれども質量のある物質=暗黒物質(またはダークマター)が想定されていることをご紹介しました。
本日は、宇宙を構成する要素のうち、さらに多くの比率を占めると想定されている、暗黒エネルギーを取り上げます。

赤方偏移とハッブル定数

宇宙が光よりも速く膨張していると考えられていることもまた別の投稿でご紹介させていただきましたが、その証拠として赤方偏移の観測が挙げられます。
光は波長が伸びると赤色の方向に色目が変化しますので、天体からの光も波長が伸びると赤色方向にずれて観測されます。
天体からの光の波長が伸びて観測されることから、間接的に宇宙空間が光よりも速く膨張していると考えられているのです。

 

さて、具体的に宇宙空間の膨張スピードを観測により求めたのがエドウィン・ハッブルという人で、ハッブルさんが提唱した宇宙の膨張率はハッブル定数と呼ばれています。
このハッブル定数は、宇宙ができてしばらく経過した現在では一定であると長く考えられていました。
しかし最近の観測により、実は変動している(つまり定数でなく変数だった)、それも宇宙の膨張速度が加速する方向に変化している、ということがわかってきています。
ビッグバン直後の膨張が最も速度が速く、その後徐々に膨張速度を落として、ある速度まで落ちたところで均衡する、というのは感覚的にわかるのですが、膨張速度が加速する方向に変化することについて上手い説明ができずに、困ったことになってしまったのです。

暗黒エネルギーは反重力

そこで、宇宙を本来想定される速度よりもさらに高速で加速膨張させる圧力として、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の概念が提起されています。
元々はビッグバン時の膨張スピードは重力によって弱められ、ある期間は膨張スピードが均衡した後に、最終的には宇宙が収縮する方向に変化すると思われていました。
しかし、現在のように加速膨張するためには、重力とは逆に退け合う力(反重力)が必要となってきます。
正体はよくわからないけれども、これを可能とする力(重力斥力)として想定されているものが、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)なんですね。

結局のところ現在ではほとんど未知な暗黒エネルギー(ダークエネルギー)ですが、この概念のおかげで宇宙空間の膨張を一番うまく説明できている(?)ようです。

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ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。